日本のお酒はグルテンフリー? ビール・ノンアル・焼酎・紹興酒・割り材まで

日本のお酒はグルテンフリー?
まず、日本の飲食店でよく出るお酒を、表にまとめます。
| お酒 | 麦・小麦は? | ひとこと |
|---|---|---|
| ビール・発泡酒 | 多くは大麦の麦芽が原料 | グルテンフリーではないと考える |
| 白ビール・一部のクラフトビール | 大麦に加えて、小麦や小麦麦芽を使う | 小麦アレルギーの人にも関わる |
| ノンアルコールビール | 多くは麦芽や麦芽エキスを使う | 麦芽を使わない製品もある |
| ホッピー | 麦芽とホップ | 焼酎をこれで割って飲む |
| 焼酎・ウイスキー・ジン・ウォッカ | 原料が麦のことがある。ただし蒸留酒 | 主な団体はグルテンフリーと見ている |
| 日本酒 | 米と米麹が基本 | 原材料名を表示(清酒の製法品質表示基準) |
| ワイン・シードル | 麦は使わない | Coeliac UK はグルテンフリーとしている |
| 紹興酒 | もち米と小麦 | 中華料理店で出る |
| マッコリ | 米や小麦と麹 | 韓国料理店で出る |
| 割り材・カクテル | 麦茶割り、ホッピー、ビールを使うカクテル | お酒そのものより見落としやすい |
ただし、この表を使う前に、知っておいてほしいことがあります。日本では、お酒の缶やボトルが、小麦について何も教えてくれないことがあるのです。
日本では、お酒にアレルゲン表示の義務がない
日本の加工食品には、小麦や卵、乳などのアレルゲンを表示する義務があります。ところが、お酒はその対象外です(ほかに対象外になる食品はアレルギー表示の義務はどこまで?にまとめています)。食品表示基準では、お酒は原材料名の表示も義務づけられていません。

実際には、多くのお酒で原材料を確かめることができます。ビールは「ビールの表示に関する公正競争規約」で、清酒(日本酒)は国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で、原材料名を表示することになっています。
それでも、お酒にはアレルギー表示の義務がないため、加工食品のような「(一部に小麦を含む)」という注意書きは基本的にありません。白ビールの原材料欄に「小麦」と書いてあっても、それは注意書きとしてではなく、原料の一つとして並んでいるだけです。
これは、海外から来た人ほど戸惑う点かもしれません。EUとイギリスでは、お酒は原材料の一覧を省略できますが、アレルゲンは「Contains: Barley」のように表示する必要があります。カナダでも、包装されたビールには、小麦や大麦などの表示が求められます。オーストラリアとニュージーランドでも、お酒にアレルゲンの表示が必要です。ただし、ビールや蒸留酒に含まれる小麦や大麦などは、表示しなくてよい例外になっています。アメリカは日本に近く、お酒のアレルゲン表示は今のところ任意で、義務化の規則案が2025年に出された段階です。
| 国・地域 | お酒のアレルゲン表示 |
|---|---|
| 日本 | 食品表示基準では義務なし(原材料名も。清酒とビールは、別の基準・規約で原材料名を表示) |
| EU・イギリス | 義務あり(原材料の一覧は省略できる) |
| カナダ | 包装されたビールは、小麦や大麦などの表示が必要 |
| オーストラリア・ニュージーランド | 義務あり。ただし、ビールと蒸留酒の麦類は例外 |
| アメリカ | 任意(義務化は規則案の段階) |
さらに飲食店では、ボトルや缶を目にしないことがほとんどです。生ビールはサーバーから注がれ、焼酎や日本酒はグラスや徳利で出てきます。だから店では、表示を探すより、聞くことが必要になります。
「グルテンフリー」という表示そのものの各国の基準は、日本の「グルテンフリー」の意味で比べています。
ビール・発泡酒・ノンアルコールビール
日本の酒税法では、ビールは麦芽の比率が50%以上のもの、発泡酒はそれより少ないか、ビールに使えない副原料を使うものです。2023年10月からは、いわゆる「新ジャンル」(第三のビール)も、酒税法上は発泡酒に含まれます。多くは大麦の麦芽や麦由来のスピリッツを使っていますが、麦芽を使わず、豆のたんぱく質などで造るものもあります。ただし、麦を使わない製品でも、製造ラインの共有などによる交差接触(調理中や製造中の混入)については、表示からは分かりません。原材料欄を確かめてください。
小麦アレルギーの人が気をつけたいのは、白ビールです。ベルギーのホワイトエールやドイツのヴァイツェンの流れをくむビールは、大麦に加えて小麦を使います。たとえば、ある国産のホワイトエールの原材料欄には「麦芽(大麦麦芽、小麦麦芽)、ホップ、小麦、…」と書かれています。クラフトビールの店では、こうしたビールが普通に並んでいます。
ノンアルコールビールも、多くが麦芽を使っています。たとえば、サントリーの「オールフリー」の原材料は麦芽とホップなどです。一方、アサヒの「ドライゼロ」は麦芽を使わず、食物繊維、大豆ペプチド、ホップなどで造られています。原材料に麦は入っていません。一方で、大豆アレルギーの人は気をつける必要があります。上に書いたとおり、製造ラインを麦の製品と共有しているかどうかは、表示からは分かりません。原材料は変わることがあるので、そのたびに缶で確かめてください。
海外では、日本のビールが「ライスビール(米のビール)」と呼ばれることがあります。日本の大手のビールには、麦芽に加えて米やコーンを副原料に使うものがあるからです。たとえば、アサヒの「スーパードライ」の原材料は「麦芽、ホップ、米、コーン、スターチ」です。米が入っていても、主な原料は大麦の麦芽なので、グルテンフリーではありません。一方、キリンの「一番搾り」の原材料は麦芽とホップだけです。どちらにしても、「米を使っている」ことは「麦を使っていない」ことを意味しません。
居酒屋には、ホッピーという飲みものもあります。麦芽とホップで造った、ビールのような味の飲みもので、アルコール分は1%未満です。ジョッキに焼酎を入れ、ホッピーを注いで飲むのが定番です。焼酎は蒸留酒でも、ホッピーには麦芽が入っています。
焼酎・ウイスキー・ジン・ウォッカ:蒸留酒
麦焼酎は大麦から、ウイスキーは大麦の麦芽などから造られます。それでも、イギリスのセリアック病の患者団体 Coeliac UK は、大麦から造るモルトウイスキーも含めて、すべての蒸留酒はセリアック病の人も飲めるとしています。アメリカの Beyond Celiac も、小麦・大麦・ライ麦から造ったものでも、純粋な蒸留酒はグルテンフリーと見ています。蒸留の過程で、グルテンのたんぱく質が残らないと考えられているからです。
ただし、Beyond Celiac は、蒸留したあとに香料などを加えたお酒には、グルテンが隠れていることがあると注意しています。そして、日本の居酒屋で焼酎を頼むと、たいてい何かで割って出てきます。気をつけるべきなのは、焼酎そのものより、割り材のほうです。
主な団体が飲めると言っていても、それでも蒸留酒を避けると決めている人もいます。どこまでを自分の線にするかは、あなたと主治医が決めることです。
日本酒とワイン
日本酒は、米と米麹を基本に造られ、小麦や大麦を使わないのが一般的です。清酒は「清酒の製法品質表示基準」で原材料名を表示することになっているので、ラベルの「原材料名」の欄で確かめられます。ワインやシードルについても、Coeliac UK はグルテンフリーとしています。
紹興酒とマッコリ:小麦を使うお酒
日本のお店で飲めるお酒には、中国や韓国のお酒もあります。ここには、小麦を使うものがあります。
中華料理店でよく出る紹興酒は、もち米と小麦を原料にした中国のお酒です。国税庁の説明でも、原料として小麦が挙げられています。紹興酒は蒸留しない醸造酒なので、セリアック病の人だけでなく、小麦アレルギーの人も注意が必要です。中華料理では、紹興酒が料理の味付けに使われることもあります。
韓国料理店で出るマッコリも、米や小麦と麹から造られる醸造酒です。製品によって、米だけのものもあれば、小麦や麦の麹を使うものもあります。ボトルの原材料を見せてもらうのが確かです。
割り材とカクテル:見落としやすいところ

日本の居酒屋では、焼酎をお茶やソーダ、果汁で割った「サワー」や「ハイ」がよく飲まれます。ウーロンハイ(ウーロン茶割り)や緑茶ハイ(緑茶割り)のほかに、麦茶割りを置いている店もあります。メニューに「お茶割り」とだけ書いてある場合は、何のお茶かを聞いてください。
ビールを使ったカクテルにも注意が必要です。シャンディガフはビールとジンジャーエール、レッドアイはビールとトマトジュースで作ります。名前だけでは、ビールが入っていると分からないことがあります。
「とりあえずビール」の一杯目
日本の飲み会では、最初の一杯をそろえて乾杯するのが一般的です。「とりあえずビール」という言葉があるほど、一杯目はビールになりがちです。
ビールを飲めない人は、席に着く前、あるいは最初の注文のときに、自分の一杯を決めておくと楽です。ウーロン茶や、原材料を確かめたノンアルコールビール、日本酒、焼酎のソーダ割りなど、乾杯に使える飲みものはたくさんあります。
小麦アレルギーの人と、セリアック病の人で、気をつける点が違う
食の制限には、大きく分けて2つの線があります。原材料に入っていなければ足りる人の線(わずかな交差接触は問題にならない)と、わずかな交差接触まで避ける必要がある人の線です。お酒の場合は、どの穀物を避けるかによっても、気をつけるお酒が変わります。
小麦アレルギーの人が気をつけたいのは、小麦を使うお酒です。白ビール、紹興酒、一部のマッコリがこれにあたります。大麦については、大麦・ライ麦・オーツ麦の記事に書いたとおり、食べられる場合も多いとされていますが、どこまで飲めるかは主治医に確かめてください。
もう一つ、小麦アレルギーの人に知っておいてほしいことがあります。食べたあとに運動することで症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」では、小麦がよく原因になります。そして、アルコールは症状を起こしやすくする要因の一つに挙げられています。小麦を使った料理を食べながらお酒を飲む場面では、お酒の原材料だけでなく、飲むこと自体についても、主治医の指示に従ってください。
セリアック病の人が気をつけたいのは、小麦を使うお酒(白ビール、紹興酒、一部のマッコリ)に加えて、大麦を使うお酒です。ビール、発泡酒、多くのノンアルコールビール、ホッピー、そして麦茶割りやビールのカクテルがこれにあたります。蒸留酒は、主な団体がグルテンフリーと見ています。
店で使える日本語フレーズ
伝え方の全体は、日本の飲食店でアレルギーを伝える方法にまとめています。
WE TABLEの考え方
日本の飲食店では、料理については確かめても、飲みものまでは確かめないことがよくあります。お酒は表示の義務がなく、グラスで出てくるので、なおさら見えにくい存在です。だから私たちは、料理と同じように、飲みものも事前に確かめることをすすめています。JOURNEYでは、飲みものについては、当日シェフに直接確かめます。お店の飲みものは種類が多く、入れ替わりもあるので、すべてを事前に確かめることはできないからです。確かめられたことと確かめきれなかったことは、そのまま伝えます。私たちは「安全です」とは言いません。言えるのは、何をどこまで確かめたか、です。
よくある質問
日本のビールはグルテンフリーですか?
いいえ。日本のビールと発泡酒の多くは、大麦の麦芽を原料にしています。白ビールなど、小麦や小麦麦芽を使うものもあります。日本では、グルテンフリーのビールはほとんど見かけません。
ノンアルコールビールはグルテンフリーですか?
日本のノンアルコールビールの多くは、麦芽や麦芽エキスを使っています。麦芽を使わない製品もありますが、その代わりに大豆ペプチドなどを使っていることがあります。缶の原材料欄で確かめてください。
焼酎はグルテンフリーですか?
焼酎は蒸留酒です。Coeliac UK や Beyond Celiac は、麦から造ったものも含めて、純粋な蒸留酒をグルテンフリーと見ています。ただし、蒸留後に加える香料などや、麦茶割りのような割り材には注意が必要です。最終的な判断は、主治医と相談してください。
日本酒はグルテンフリーですか?
日本酒は、米と米麹を基本に造られ、小麦や大麦は使わないのが一般的です。日本酒(清酒)は、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で原材料名を表示することになっているので、ラベルで確かめられます。
日本のお酒には、アレルギー表示がありますか?
食品表示基準では、酒類にアレルギー表示と原材料名の表示の義務はありません。ただし、清酒は国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で、ビールは「ビールの表示に関する公正競争規約」で、原材料名を表示します。それでも、「(一部に小麦を含む)」のようなアレルギー表示は基本的にありません。
出典
- 国税庁「酒類の表示に関するQ&A」別冊(食品表示基準と酒類)
- 消費者庁「食品表示基準について」(アレルゲン表示とアルコール類)
- 杏林大学医学部付属病院 栄養部「食物アレルギー表示について」
- 「ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則」(全国公正取引協議会連合会)
- 国税庁「清酒の製法品質表示基準」(「酒類の表示の基準における重要基準を定める件」の概要)
- 国税庁 東京国税局「お酒のABC その他の酒」(紹興酒)
- 現代ビジネス「マッコリ」記事(原料について)
- 国税庁「酒のしおり」酒税の税率(新ジャンルの発泡酒への編入)
- Coeliac UK「Alcohol」
- Beyond Celiac「Which Alcohols Are Gluten-Free?」
- 食品安全委員会 季刊誌 vol.62(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
- 国立病院機構 天竜病院「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」講演資料
- GetNavi web「ホッピー」記事(原材料とアルコール分)
- Regulation (EU) No 1169/2011(食品情報の消費者への提供)
- Business Companion(英国 Trading Standards)「Alcoholic beverages and alcohol in food」
- Federal Register「Major Food Allergen Labeling for Wines, Distilled Spirits, and Malt Beverages」(TTB 規則案、2025年)
- FSANZ「Allergen labelling exemptions」
- Perennia「NSLC Beer Fact Sheet 2025」(カナダのビール表示)
- 常陸野ホワイトエール 商品ページ(原材料)
- サントリー オールフリー 商品ページ(原材料)
- アサヒ ドライゼロ 商品ページ(原材料)
- アサヒ スーパードライ 商品ページ(原材料)
- キリン 一番搾り 商品ページ(原材料)



