アレルギー表示の義務はどこまで?飲食店・テイクアウトの違い(2026年)

日本のスーパーやコンビニの商品には、アレルギー表示があります。だから日本では、どこで買っても、どこで食べても表示があると思われがちです。けれど実際に表示が義務なのは、容器包装に入れられた加工食品だけです。そのうえ日本の表示には、日本独自の「推奨」という区分があります。旅行の前に知っておきたい、この2つの線を整理しました。
日本でアレルギー表示が義務になるのは、どんな食品?
日本の食物アレルギー表示は、食品表示法にもとづく「食品表示基準」で決まっています。アレルギー表示の義務があるのは、容器包装に入れられた加工食品です。スーパー、コンビニ、駅の売店で売っている袋入りのお菓子、パック入りの惣菜、ペットボトルの飲みものなどがこれにあたります。
この記事で「表示の義務」と書くときは、アレルギー表示(アレルゲンを含む旨の表示)の義務のことです。原材料名の表示も同じ食品表示基準で決まっていますが、範囲が少しだけ違います。旅行者に関係する違いは1つで、店で作って包装し、その店で売る弁当などは、原材料名を書かなくてもよい一方、アレルゲンは書かなければいけません。原材料欄がなくても、アレルギー表示だけはある、ということがあります。
包装の表示面積が30cm²以下の小さな商品でも、アレルギー表示は省略できません。添加物の表示が免除される加工助剤やキャリーオーバーでも、特定原材料(義務の品目)が含まれていれば表示が必要です。複合原材料や添加物のどこにアレルゲンが隠れるかは、複合原材料と添加物の表示ルールにまとめています。
「義務」と「推奨」:日本の表示は2段階
日本の表示には2つの段階があります。
| 区分 | 品目 | 表示 |
|---|---|---|
| 義務(特定原材料・9品目) | えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生、カシューナッツ | 含まれていれば必ず表示 |
| 推奨(特定原材料に準ずるもの・20品目) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン | 可能な限り表示するよう努める。書かなくても違反ではない |
カシューナッツは2026年4月1日に義務になりました(2028年3月31日までは経過措置)。ピスタチオは同じ日に推奨に加わっています。
推奨の20品目は、表示している商品も多いのですが、メーカーが書かないと決めれば書かれません。表示がないことは、入っていないことを意味しません。大豆やごま、さけ、ナッツ類のアレルギーがある人は、アレルギー表示の欄だけでなく、原材料名を最後まで読んでください。
私たちが比べた国と地域のなかで、義務の品目とは別に「推奨」の品目を決めているのは日本だけでした。ほかの国では、決められた品目は表示が義務です(中国はいまアレルゲン表示そのものが推奨で、2027年3月から義務になります)。自分の国の表示が日本でどう見えるかは、国別の対応表で確かめられます。
「推奨」の品目が入っていないことは、証明できなかった
私たちWE TABLEは以前、企業向けのお弁当の事業(WE TABLE BOX)を試していました(いまは受付を止めています)。そのとき一番困ったのが、推奨の品目が入っていないことを証明できないことでした。加工品のメーカーから、その先の仕入れ先までたどる作業の話は、複合原材料と添加物の表示ルールに書いています。
テイクアウトと飲食店では、表示がなくても違反ではない
包装食品の外に出ると、表示の義務はなくなります。売り方ごとに整理すると、次のようになります。
| 売り方 | アレルギー表示の義務 |
|---|---|
| スーパー・コンビニの包装された商品 | あり |
| 店があらかじめ容器包装に入れて売る弁当・惣菜 | あり(原材料名は省略できても、アレルゲンは必要) |
| 対面販売の店が、混む時間に備えてその日の分だけ先に詰めたもの | なし |
| 注文を受けてその場で容器に詰める弁当・惣菜 | なし |
| 容器包装に入れずに売る量り売り・ばら売り(パン、惣菜など) | なし |
| 飲食店で食べる料理・出前 | なし |
| 酒類(ビール、日本酒、ワインなど) | なし |
飲食店が料理をあらかじめ容器包装に入れて売る場合は、表示が必要です。一方、店で食べる料理には、メニューにアレルゲンを書く義務がありません。消費者庁は、外食でもメニューなどで自主的に情報を出すことが望ましいとしていて、アレルゲン表を用意しているチェーン店も増えています。ただ、それは各店の自主的な取り組みです。

表示があっても気をつけたいこと
- 推奨の品目は書かれていないことがある:上で書いたとおりです。
- 注意喚起は義務ではない:「本品製造工場では〜を含む製品を生産しています」のような、混入の可能性を知らせる注意書きは、任意です。書かれていなくても、混入がないとは限りません。なお、「入っているかもしれません」のような可能性表示は認められていません。
- お酒は対象外:酒類は、小麦や乳などを使っていても、アレルギー表示の義務がありません。お酒についてはグルテンが入る可能性があるお酒にまとめています。
- グルテンは小麦だけ:大麦・ライ麦・オーツ麦は、日本のアレルギー表示の対象ではありません(大麦・ライ麦・オーツ麦の話)。
主要国との比較:包装食品と飲食店のアレルギー表示
| 包装食品 | 飲食店・量り売り | |
|---|---|---|
| 日本 | あり9品目 | なし自主的な提供が望ましい |
| EU | あり14品目 | あり伝え方は加盟国ごと。口頭でもよい国が多い |
| 英国 | あり14品目 | あり店で包装して売る食品は全原材料を表示 |
| 米国 | あり9品目 | なし一部の州に独自の規定 |
| カナダ | あり | なし連邦の義務なし |
| オーストラリア ニュージーランド | あり | あり陳列で示すか、求められたら伝える |
| 韓国 | あり | 一部一部の事業者のみ |
| 中国 | 一部いまは推奨。2027年3月16日から義務 | なし |
| 台湾 香港 シンガポール | あり | なし |
赤い印は、アレルギーの情報が出てこないことがあるところです。日本の「推奨」の品目が書かれないことがある点は、上の「義務」と「推奨」の章で書いたとおりです。
国ごとの細かな品目の違いは、国別の対応表で1項目ずつ比べられます。
お店で聞くときの日本語
表示がない場所では、聞くしかありません。
飲食店での伝え方は、日本の飲食店でアレルギーを伝える方法に詳しく書いています。
よくある質問
日本の飲食店にアレルギー表示の義務はありますか?
ありません。食品表示基準は、設備を設けて飲食させる場合(飲食店・出前)には適用されません。消費者庁は、メニューなどで自主的に情報を出すことが望ましいとしていますが、義務ではありません。
テイクアウトの弁当や惣菜にアレルギー表示は必要ですか?
売り方によります。注文を受けてその場で容器に詰める弁当や、容器包装に入れずに売る量り売りの惣菜は、表示の義務がありません。一方、あらかじめ容器包装に入れて売る弁当は、店で作ったものでも表示が必要です(対面販売の店が、その日の販売見込み分だけを先に詰めた場合を除く)。
アレルギー表示の「義務」と「推奨」の違いは何ですか?
義務の9品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生、カシューナッツ)は、含まれていれば必ず表示されます(カシューナッツは2028年3月31日まで経過措置)。推奨の20品目(大豆、ごま、アーモンド、さけ、さばなど)は、可能な限り表示するよう努めるとされているだけで、書かなくても違反ではありません。
お酒にアレルギー表示はありますか?
表示の義務はありません。酒類は、特定原材料を使っていても、アレルギー表示の義務の対象外です。
「同じ工場で〜を製造しています」という表示は義務ですか?
いいえ。混入の可能性を知らせる注意喚起は、任意です。書かれていなくても、混入がないとは限りません。なお、「入っているかもしれません」のような可能性表示は認められていません。
耳で聞く
この記事の要点を、音声で聞けます(英語・約3分、AI音声)。
出典
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」
- 消費者庁「食品表示基準について」別添 アレルゲンを含む食品に関する表示(2026年10月1日改正)
- 消費者庁「食品表示基準Q&A」(2026年10月1日改正)
- 大阪府「食物アレルギー表示について」
- 熊本市「ご存じですか? 販売する食品には食品表示が必要です!」
- 江戸川区「食品表示 よくある質問」
- EU規則1169/2011(第44条 包装されていない食品)
- 英国食品基準庁(FSA)「Allergen guidance for food businesses」
- 中国 国家衛生健康委員会 公告2025年第2号(GB 7718-2025)に関する報道
- 米国FDA「Food Allergies」
- FSANZ「Allergen labelling for consumers」




